by Shel Silverstein
語数 621
あらすじ
むかし 一本のおおきなりんごの木がありました
そこへ ひとりの男の子がやってきて
葉っぱを集めたり 気に登ったり
男の子と木は とても仲良しでした
けれども ときは流れ
男の子は 少しおとなになり
やがて 木と遊ばなくなりました
ところが あるとき
そのこが ひょっこりきて 言いました
ぼくはもう 木登りなんて おかしくて
かいものがしてみたい だからお金がほしいんだ
木は言いました…
木は 男の子の願いを叶えると
うれしくて…
感想
無償の愛を与え続け、決して見返りを求めないりんごの木。自分と重ねて、いろんなことを考えました。私は息子に何を与えているのだろう。愛を与えているつもりでいるけれど、本当にそうなのだろうか。読みながら、自分の気持ちに問いました。
今、息子は中学二年生。この本の中でいうと、少し大人になり、木から離れ、一緒に遊ばなくなった頃でしょうか。これからのことを考えると、不安になったり 焦ったりします。おおきな木のように、いつも温かく迎えることができるでしょうか。
英文は難しくなく、調べた単語はありませんでした。りんごの木の代名詞は ’She’ で語られるので、”母” を重ねてしまうのですね。
翻訳は、はじめは本田錦一郎さんの訳で出版されていましたが、物故され、出版社が出版を続けることができなくなった事情もあり、混乱を避けるために「おおきな木」という元の題はそのままで、村上春樹さんの訳が新たに出版されたそうです。(村上春樹さんあとがきより)
本田さんの訳は、温かみがある感じがします。村上さんの訳は、洗練された、大人も好みそうな感じがしました。
例えば…
原文 … and she loved a little boy.
本田氏 … かわいい ちびっこと なかよし。
村上氏 その木は ひとりの少年の ことが だいすきでした。
どちらの翻訳も素敵です!
邦題「おおきな木」ほんだ きんいちろう 訳
「おおきな木」村上 春樹 訳
累計 115冊 282,399語
お読みいただき、ありがとうございました。